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敷地分析ダイアグラムの作成方法

報告書用の敷地分析ダイアグラムの作成順序と原則、手作業の手順と、sitedia で自動化できる範囲を説明します。

2026-10-05 作成この文書は AI が作成しました。

概要

設計の報告書は、たいてい敷地分析から始まります。敷地分析ダイアグラムは、敷地調査で集めた事実を設計の判断につなげる図版です。

区分内容例
敷地調査事実を集める周辺の建物、用途地域、駅の位置
敷地分析集めた事実から設計の判断を導く 低層住宅がまとまって広がっているので建物の高さを抑える、駅の方向へ歩行者の流れがあるので入口をその側に置く

いちばん多い誤りは、この2つを混同することです。ダイアグラムは、調べた事実を見る人が3秒で把握できる図に置き換え、その上に矢印1本で判断を示します。ダイアグラムの品質の基準は、1枚の図版が1つの事実だけを表しているかどうかです。

基本項目

敷地分析ダイアグラムの基本項目は、次の6つです。

項目内容確認すること
用途(現況)住宅・商業・業務の分布周辺の実際の使われ方
規制(法)用途地域、地区計画などの区域建てられる建築物の範囲
高さ高層と低層の分布スカイラインと日照の環境
老朽度竣工年代再開発や建て替えの圧力が集まる場所
オープンスペース公園・緑地・河川敷地とつなげられる屋外空間
アクセス道路の階層、駅とバス停人と車が入ってくる方向

項目は課題の性格に応じて増やしたり減らしたりします。ただし、この6つが抜けていると、審査する側や発注者から必ず質問が出ます。項目ごとの図版の構成は敷地分析の図版23枚の構成にあります。

老朽度について。日本版には「竣工年代」の図版がありません。PLATEAU に竣工年のデータがないためです。老朽度を示す必要がある場合は、別の資料や現地調査で補ってください。

渋谷駅 半径500m の建物ダイアグラム(建物の外形を黒で塗った図と地)
「建物」の図版(渋谷駅、半径500m)。建物の外形だけで描いた図と地(figure-ground)

分析半径

半径は、描く項目より先に決めます。半径は敷地が周辺と影響を及ぼし合う範囲を表し、審査でも質問される項目です。実務で使う半径はおおよそ次のとおりです。

半径検討の範囲備考
150〜300m隣接する関係(隣の建物の高さ、前面道路の幅、影が直接かかる範囲) 区画の線がはっきり見える唯一の縮尺。配置・レベルの検討に使う
500m徒歩5〜7分。駅勢圏を論じるときの基本単位 最もよく使う値。複数の街区が入り、都市組織が見え始める
800m徒歩10分圏。生活圏・近隣単位の分析 個々の建物より、まとまりや軸の単位で読む
1,000〜1,600m都市構造の中での敷地の位置(幹線道路網、大きな緑地、駅と駅の関係) 区画や用途の色は事実上見分けられないため、それらを示す図には使わない

半径を選ぶ基準は、半径の中に設計判断の根拠が入っているかどうかです。根拠が300m以内で終わるのに800mで描くと、残りの500mは見る人の視線を散らします。駅が700m先にあるのに500mで切ると、その図版は駅勢圏についての主張を裏付けられません。

フレームの形

円形フレーム

敷地分析ダイアグラムを円で切り取る理由は次のとおりです。

理由説明
計画の用語と一致「駅勢圏500m」「徒歩圏800m」のように、分析範囲が計画の用語と同じになる。四角いキャプチャの範囲は地図の大きさで決まるが、円の範囲は影響圏を表す
敷地が中心円の中心に敷地の印を1つだけ置けば、どの図版でも視線が同じ位置に戻る
並べて配置同じ半径の円を6枚・12枚と格子状に並べれば、図版ごとに縮尺が変わる誤りを防げる
渋谷駅 半径500m の道路ダイアグラム(円形フレーム、道路の階層を線の太さで表示)
「道路」の図版(渋谷駅、半径500m)。円形フレームの縁が分析半径を表す

縮尺をそろえる。ダイアグラムを何枚も作るときに最も多い誤りは、図版ごとに地図の縮尺が少しずつ違うことです。1枚は600mの範囲、隣は850mの範囲では、2枚を比べられません。半径を1つに決めて、すべての図版で固定します。

長方形フレームが向いている場合

次の3つの場合は、円より長方形のフレームが向いています。

場合円形フレームの問題長方形フレーム
細長い敷地川沿い・線路沿いのような細長い敷地は両端が切れる。全体を入れようと半径を大きくすると中央が空く 縦横比を敷地に合わせ、紙面を取りすぎない
報告書の判型16:9 のスライドや2段組みに置くと、左右に大きな余白が残る 判型の比率で切り取り、同じ紙面により広い範囲を入れる
区域の境界を示す図版地区計画の区域や事業区域を円で切ると、区域の終わりと図の終わりの区別がつかない 区域全体を入れる(区域の境界を示す図版は、区域全体が入って初めて意味がある)

どちらの形でも、1つの報告書の中では1つの形にそろえます。形が変わる図版には、必ず縮尺を表記し直します。

色と凡例

原則内容
テーマ色は1系統1枚の図版のテーマ色は1系統だけにし、残りは灰色にする(例:用途の図は用途の色だけ)。すべての要素を塗ると、どれも目立たなくなる
凡例を一致させる項目を消したり色を変えたりしたら、凡例も一緒に直す。図と食い違う凡例は、ないより悪い
不明は不明のまま用途や階数が分からない建物は、薄い灰色の「不明」で表示する。勝手な色を塗ると、図版全体が事実と違ってしまう(審査でも「不明」と表示するほうが安全)
強調色は1つ敷地の印が赤なら、ほかの要素に赤を使わない
北を固定図版を回転しない(回転すると影・日照・風の内容を検証できない)。どうしても回転が必要なら、方位記号を大きく入れる
渋谷駅 半径500m の公園・緑地・河川ダイアグラム(灰色の地に緑の強調色1つ)
「公園・緑地・河川」の図版(渋谷駅、半径500m)。灰色のベースマップと1つの強調色で構成

よくある5つの誤り

審査で指摘されるのは、たいてい次の5つです。

誤り内容対処
1枚に2つのテーマ用途の色の上に道路の階層まで色で重ねると、色の意味を確かめるたびに凡例を見に行くことになる 図版を分ける(枚数が増える負担は、読みにくい図版の負担より小さい)
凡例と図の不一致項目を消したり色を変えたりした後、凡例を直していない。その図版が信用されなくなり、審査する側がほかの図版まで疑う 凡例を図と一緒に直す
分からない値に色を塗る用途・階数が空欄の建物にもっともらしい色を入れると、図版が事実ではなく推測になる 灰色の「不明」で表示する
縮尺・方位の欠落1枚ずつキャプチャしてスライドに貼るときに抜けやすい 縮尺・方位を表記する(円形フレームなら、半径の表記1つで縮尺の代わりにできる)
判断のない事実の羅列いちばん多く、いちばん大きい誤り。図版を10枚並べて「以上が敷地の現況です」で終わると、敷地分析ではなく敷地調査にとどまる 図版ごとに結論を1文書く(結論が書けない図版は、外してもよい図版)

資料の限界の表記

公開データで描いた図版には、必ず抜けがあります。新しい建物が入っていない、取り壊された建物が残っている、用途・階数が空欄になっている、航空写真が落葉期に撮影されている、といった場合です。限界を隠すと問題になりますが、図版に書いておけば根拠になります。表記の方法は次の3つです。

方法内容
不明の表示分からない値は色で埋めず、「不明」の凡例で残す。不明が集まっている区域は現地確認の対象
時点の表記キャプションに資料の時点を1行書く(例:「建物用途:都市計画基礎調査(東京都 2021年)」)。抜けている建物について質問されたときの根拠になる
推定値の表記高さを階数から換算した、樹冠の高さを仮定した、といった場合はその旨を書く。数値を引用してよい図版かどうかを判断する基準になる

作成の手順

手作業

  1. 地図や航空写真を同じ縮尺でキャプチャする
  2. Illustrator に背景として敷き、建物の輪郭をトレースする
  3. 現地調査などで用途を確かめ、建物ごとに色を付ける
  4. 用途地域の境界・道路・緑地をレイヤーごとに加える
  5. 円形のクリッピングマスクで切り抜き、凡例・縮尺・方位を入れる

手作業では、図版1枚に1〜2時間、12枚で1週間かかります。対象地が変われば、最初からやり直しです。

自動化

ダイアグラムの材料(建物の外形、用途、階数、用途地域、道路)は、いずれも公開データとして提供されています。建物は 3D都市モデル PLATEAU(国土交通省)、用途・階数は都市計画基礎調査、用途地域は都市計画決定情報、道路は OpenStreetMap を含む Overture Maps のデータです。sitedia は、敷地を指定すると(駅名・町名・建物名で検索できます)これらの資料を集め、上の原則(円形フレーム、縮尺の固定、不明の扱い、凡例の連動)に沿って図版を最大23枚描きます。図版は PNG で保存でき、Pro では編集できる SVG で書き出せます。

公開データには、新しい建物が入っていない、用途が古い情報のままである、といったことがあります。そのため、最後の段階で現地を知る人の確認が必要です。その確認のために、編集できるベクター(SVG)を用意しています。編集方法はSVG の仕上げにあります。

報告書での並べ方

図版は、見る人の問いが移っていく順に並べます。

  1. 位置:広域の位置図、航空写真(敷地の位置を示す)
  2. 土地の条件:用途地域、地域地区、敷地区画(法の条件と土地の区切り)
  3. 周辺の現況:建物、用途、高さ(都市組織と変化の圧力)
  4. つながりとアクセス:緑地、道路、公共交通
  5. 環境:地形・傾斜、日照、風(配置を左右する物理的な条件)
  6. 総合:前の図版から導いた判断を1枚にまとめた総合ダイアグラム(この図版だけは矢印や文字が多くてもよい)

総合ダイアグラムがあるかどうかで、報告書の印象が決まります。前に並べた図版は判断の材料で、見る人の記憶に残るのは総合ダイアグラムの1枚です。

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