太陽軌跡図と日影ダイアグラム
「日照・日影」タブが、敷地周辺の建物を立てた3Dモデルの上に表示する太陽軌跡と日影について、計算方法、設定項目、法的な検討との違いを説明します。
概要
「日照・日影」タブは、住所で決めた敷地の周辺の建物を3Dで立て、その上に太陽軌跡と、指定した時刻の日影を表示します。日影の検討には、周辺の建物をすべて立てたモデルが必要です。このタブは、Rhino・SketchUpでのモデリングやプラグインを使わずに、そのモデルと日影をブラウザで作ります。
この図版は、計画の初期段階で配置と向きを決めるために使います。敷地の向き、冬の朝に日陰ができる方向、南側の高層建物がつくる日影の届く範囲を確認できます。
使い方
- 「日照・日影」タブを選びます。3Dモデルがまだない場合は、先に「建物ボリューム」タブの「3D作成」で建物を立てます。
- 「日付」で夏至・春分・秋分・冬至のいずれかを選びます。
- 「時刻」のスライダーで時刻を決めます。太陽の位置と日影が、その時刻に合わせて変わります。
- 必要に応じて「落ちた日影のみ」をオンにします。
- 「真北揃え」または「平面ビュー」で視点を決め、「PNG保存」を押します。
設定項目
| 項目 | 値・範囲 | 説明 |
|---|---|---|
| 「日付」 | 夏至・春分・秋分・冬至 | 太陽軌跡と日影の基準日 |
| 「時刻」 | その敷地の標準時 | サマータイムは適用しない |
| 「落ちた日影のみ」 | オン・オフ | オン:面の色が固定され、隣の建物が落とす日影だけを表示。オフ:太陽に背を向けた面も暗くなる |
図版の出力
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 「真北揃え」 | 傾きと拡大はそのままで、北だけを画面の上に向ける。報告書に複数枚入れても方位がそろう |
| 「平面ビュー」 | 真上から見下ろす視点。日影の長さを測るときに正確 |
| 「PNG保存」 | 画面の大きさに関係なく、常に同じ大きさで保存。背景が透明なので、報告書の紙の色の上にそのまま重ねられる |
計算方法
太陽の位置
太陽の高度と方位は、緯度・経度・日付・時刻から計算します。計算式には、米国海洋大気庁(NOAA)の太陽位置アルゴリズムをそのまま使います。外部のAPIを呼び出さないため、軌跡はすぐに描かれ、インターネット接続が切れても表示されます。
計算結果は理論値と照らし合わせて検証できます。南中高度は 90° − |緯度 − 太陽赤緯| で、太陽赤緯は夏至で +23.44°、冬至で −23.44° です。
南中時刻が12時ちょうどにならないことも、計算が正しいことの裏付けです。原因は2つあります。1つは、標準時の基準経度と敷地の経度の差です。日本標準時は東経135°を基準にしているため、敷地が135°より東にあれば南中は12時より早く、西にあれば遅くなります。もう1つは、地球の軌道が楕円であることなどから生じる均時差(最大±16分)です。このため南中時刻は日付によって変わります。
時刻の基準
「時刻」スライダーの時刻は、その敷地の標準時です。日本は全国が日本標準時(JST、UTC+9)です。
サマータイムは適用しません。サマータイムは国や年によって規則が異なり、正確に反映するには敷地が属する国ごとの規則表が必要になるためです。規則を推定して入れることはせず、画面には標準時であることとサマータイムを適用しないことを表示します。
日本にはサマータイムがないため、日本の敷地では表示される時刻がそのまま時計の時刻です。
基準日
太陽軌跡は日ごとに少しずつ変わります。その幅の両端と中間を表示すれば、1年の範囲がすべて入ります。
| 日付 | 軌跡 |
|---|---|
| 夏至 | 最も高く、長い軌跡 |
| 春分・秋分 | 夏至と冬至の間の軌跡。真東から昇って真西に沈み、直線に近い。図版では東西軸の基準線 |
| 冬至 | 最も低く、短い軌跡 |
春分と秋分の軌跡はほぼ重なります。2つの日を別々に選べるのは、均時差のため、春と秋で時刻ごとの太陽の位置が少しずれるからです。
陰影の判定
3Dの日影は、面がさえぎられているかどうかだけを判定します。面が暗くなる原因は2つあります。
| 区分 | 状態 | 判定 |
|---|---|---|
| 自己陰影 | 面が太陽に背を向けている | 太陽に背を向ける(N·L ≤ 0) |
| 落ちた日影 | 面は太陽を向いているが、ほかの物体にさえぎられている | 太陽を向く+さえぎられる |
2つを一緒に表示すると建物全体が灰色で覆われ、隣の建物の日影を見分けにくくなります。「落ちた日影のみ」をオンにすると、面の色が季節や時刻に関係なく固定され、隣の建物が落とす日影だけが残ります。図版にはこの設定が向いています。オフにすると太陽に背を向けた面も暗くなり、立体感が出ます。
制限事項
この図版は、日影規制などの法的な検討の代わりにはなりません。法的な検討は法令で定められた条件と方法で判定するものです。この図版は周辺の市街地が敷地に落とす日影を示すもので、目的が異なります。
モデルには樹木・庇・擁壁がありません。高さが分からない建物は立てません。存在しない高さを作ると、道路の上に実際にはない日影ができるためです。そのため、日影は実際より少なく表示されます。例えば渋谷駅・半径800mの3,975棟のうち、高さ不明の134棟は3Dで立てていません。許認可や審査に使う場合は、実測に基づくモデルと建築士による検討が別途必要です。
日照時間マップ
3Dの日影は、指定した1つの時刻の状態を示します。1日全体を合計した結果は、日照時間マップとダイアグラム一式の「日照時間」で確認します。