樹木ダイアグラム
「樹木」パネルは、空中写真から樹木を検出し、連続した樹冠は面で、それ以外は個体(円)で表示します。
概要
敷地分析では、緑は「公園・緑地・河川」パネルだけで表されることが多いです。「公園・緑地・河川」パネルは、公園や緑地の範囲を面で描きます(公園は OpenStreetMap の名前のある公園)。面は土地の使われ方を表すもので、樹木の位置は表しません。公園の中の芝生と林を区別せず、範囲の外にある街路樹や中庭の樹木は含みません。
報告書で街路樹のある道とない道を区別するには、樹木そのものの位置が必要です。「樹木」パネルは、空中写真から樹木を直接検出して表示します。
このパネルは東京23区だけで表示されます(大阪市では表示されません)。空中写真の色から検出した推定で、樹種は分かりません。
計算方法
入力画像
日本版は、地理院タイルのシームレス空中写真(国土地理院)を使います。「航空写真」パネルと同じ写真です。撮影年は地域ごとに異なります。
植生の判定
植生は、画素の色を HSV 色空間(色相・彩度・明度)で調べて判定します。次の条件をすべて満たす画素だけを植生とみなします。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 色相 | 緑の範囲 |
| 彩度 | 一定以上 |
| 緑の強さ(2G−R−B) | 一定以上 |
地理院の空中写真は全体に彩度が低いため、彩度の条件だけでは都心の灰色の面も植生に入ります。このため、緑の強さの条件を合わせて使います。基準の値は、地理院の空中写真に合わせて決めています。
建物・水面のマスク
色だけで判定すると、緑色の防水塗装の屋上や、藻の浮いた水面が樹木として検出されます。この2つは色では区別しにくいため、建物の輪郭と水面の範囲で消します。
このマスクでは、屋上緑化や、枝が屋根にかかった樹木も一緒に消えます。都市の樹冠を少なめに見積もる方向の誤差です。
面と個体
検出した画素をすべて点にすると、最小間隔を空けて点を選ぶアルゴリズムが、連続した林の中で点を格子のように規則正しく並べます。実際にはない規則性が図版に表れます。
これを避けるため、12m の窓の中で樹冠の密度が0.7を超える所は連続した樹冠(面)として、それ以外だけを個体(円)として描きます。樹林帯は面、街路樹は個体で描く図面の慣習と同じ方法です。個体の円の半径は、4方向に植生が続く長さから求め、1.2〜6m の範囲です。凡例では、円が「樹木(個体)」、面が「連続した樹冠」です。
このパネルは、樹木の本数を数えるアルゴリズムではありません。街路樹のように離れて立つ樹木はおおむね1本ずつ表示されますが、林は分布としてだけ読む必要があります。図版の円の数を、その敷地の樹木の本数として引用することはできません。
熱的快適性の地図との共有
樹木の検出は1か所のコードで行い、熱的快適性の地図で使う樹冠の日陰も、同じ検出結果から求めます。片方だけを直すと、ダイアグラムと熱的快適性の地図が食い違うためです。熱的快適性の地図は、検出した位置に高さ8m を仮定して影を落とします。この仮定は熱的快適性のガイドで説明しています。
制限事項
対象地域
このパネルは東京23区だけで表示されます。大阪市の敷地では「樹木」パネルは表示されません。
樹種と樹高
空中写真から分かるのは樹木の位置だけで、樹種と高さは分かりません。地形に使う標高タイルは地表面の高さなので、標高から樹冠の高さを取り出すこともできません。
撮影時期
落葉期に撮影された写真では、樹木をまとめて見落とします。結果は、その場所の写真がいつ撮影されたかによって変わります。撮影年は地域ごとに異なります。広葉樹の街路樹が一列まるごと抜けている場合は、落葉期の写真の可能性があります。
見落とし
影に入った樹木や色の薄い樹木は、見落とすことがあります。判定の基準を緩めると見落としは減りますが、灰色の路面や影も一緒に検出されます。色の情報だけで判定するため、見落としと誤検出を同時に減らすことには限界があります。
樹木と芝生の区別
樹木と芝生を確実には区別できません。緑の濃い芝生は、連続した樹冠(面)として検出されることがあります。
データの出典
| 資料 | 用途 |
|---|---|
| 地理院タイル シームレス空中写真(国土地理院) | 樹木の検出(東京23区) |
| 建物・水面のデータ | マスク(ほかのパネルと同じデータ) |